今回は、推定と推定量に関連した用語と不偏性についてまとめる。
母数の推定
- 点推定・・・1つの値を用いて母数の推定を行う。
- 区間推定・・・ある一定の区間を設けて母数の推定を1つの値ではなく区間で行う。
- 推定量・・・母数の推定のために用いられる標本統計量。
- 推定値・・・推定量の実現値。
- 期待値・・・確率変数とその出現確率の総和。確率変数\(X\)の期待値は\(E(X)\)で表す。
不偏性
統計量の「偏り」・・・標本統計量(推定量)の期待値と母数の差のこと。
不偏性・・・標本統計量(推定量)の期待値と母数の偏りが0であること。そして不偏性のある推定量のことを不偏推定量という。
標本平均の不偏性
標本平均については、母集団分布が正規分布に限らず、どんな分布であっても不偏性を持つ。つまり標本平均は
- 期待値が母平均に一致する。
- 標準誤差が\(\frac{\sigma}{\sqrt{n}}\)で表される。
という性質を持ち、母集団分布が何であっても成り立つ不偏推定量である。
標本分散の不偏性
標本分散\(s^2\)はの偏りは、\(\frac{\sigma^s}{n}\)となり、0ではない。つまり標本分散は、不偏推定量ではない。
ゆえに母数を推定する推測統計では通常使われないが、手元にあるデータの分散を求める記述統計で利用される。
不偏分散
標本分散\(s^2\)に\(\frac{n}{n-1}\)をかけた\(\hat{\sigma^2}\)が不偏推定量である不偏分散と呼ばれる。
数式の分母が n-1 となる所が標本分散\(s^2\)と異なる。
母数を推定する推測統計の場合には、この不偏分散\(\hat{\sigma^2}\)を使う。
標本分散と不偏分散の違い
同じデータについて、標本分散\(s^2\)と不偏分散\(\hat{\sigma^2}\)を計算すると
$$標本分散s^2 > 不偏分散\hat{\sigma^2}$$
となるが、サンプルサイズ\(n\)が大きくなるにつれ、その差は小さくなる。
(山田剛史、村井潤一郎著「よくわかる心理統計」(以降、山田村井本)を参考に)
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